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なぜ、肌に優しい化粧品は「弱酸性」なの?


◆肌に優しい化粧品は弱酸性

「弱酸性」だからお肌に優しい

よく耳にするキーワードだと思います。

耳にはするけど、なぜ弱酸性だと「肌に優しい」のか、具体的な理由をご存知ですか?

今回は、そんな知っているようでよく知らない、弱酸性にまつわるお話しをしたいと思います。

◆肌の健康を左右するpH値

酸性の反対はアルカリ性。小学校の頃にリトマス試験紙の実験で習ったかと思います。

この酸性とアルカリ性の数値を示す尺度をpH(ペーハー/ピーエッチ)といいます。

pHは1から14まであり下図のように酸性とアルカリ性の度合いを示します。

pH7前後が中性で、数字が小さくなるほど酸性度合いが強くなり、数字が大きくなるほどアルカリ性度合いが強くなります。

そして、図にあるように、健康な人の肌はpH4.5~6.0の弱酸性に保たれているのです。

◆乾燥肌の人はアルカリ性に傾いている

「健康な人の肌」と書きましたが、肌の健康が崩れると、pHの値も変化してきます。

例えば、乾燥肌の人は肌がアルカリ性に傾いている人が多く、逆に脂性肌の人は酸性に傾きすぎているといわれています。

逆に考えると、水分と油分のバランスが整っている肌が、理想的な弱酸性の数値内に収まっているともいえますね。

また、加齢とともに肌はアルカリよりになりますし、肌荒れしている部分やアトピー性皮膚炎の方の肌もアルカリよりになります。

肌の角質層はケラチンというたんぱく質でできているのですが、ケラチンは酸に対しては比較的強く、アルカリには弱いとされています。

そのため、肌がアルカリ性に偏ると、皮膚上のケラチンが破壊され角質層がきれいに保たれなくなるので、乾燥肌になったり、肌荒れが起きるのです。

◆石鹸はアルカリ性

実は、多くの人が使っている石鹸やシャンプーはおおよそpH10前後のアルカリ性です。ところが、毎日使用してもほとんどの人はトラブルが起きないですよね。

これは、石鹸やシャンプーにより肌が一時アルカリ性に傾くのですが、洗い流された後、15分程度で自然と弱酸性に戻ることができるためです。

このように、もともと人の肌には「アルカリ中和能」という能力があり、多少アルカリ性に傾いても、自然と弱酸性に戻ることができるのです。

これが乾燥肌の人だとアルカリ中和能が弱く、一度アルカリ性に傾いた後、弱酸性に戻るためには1時間程度必要だともいわれています。

また、アルカリ性物質が洗い流されることなく、常に肌に残り続けると、肌の持つアルカリ中和能は衰えてきます。

シャンプーなどをしっかりと流さないと肌荒れが起こるのはこのためです。

◆皮膚常在菌とpHの関係

私たちの表皮に存在する皮膚常在菌も、このpHと密接に関係しています。

肌のバリア機能を強化してくれる善玉菌は弱酸性を好み、黄色ブドウ球菌に代表される悪玉菌はアルカリ性を好みます。

アトピーの方の肌には黄色ブドウ球菌が多く存在するのですが、これは肌がアルカリに傾いているため、アルカリ環境を好む黄色ブドウ球菌が爆発的に繁殖するためです。

◆どうして肌は弱酸性になるのか?

健康な人の肌はどうして自然と弱酸性に戻ることができるかというと、これも皮膚常在菌の働きによるものです。

善玉菌に代表される表皮ブドウ球菌等には脂肪酸を産生する力があります。脂肪酸は「酸」と名の付くとおり、酸性の物質です。

善玉菌が脂肪酸を産生してくれることで、肌は弱酸性に保たれているのです。

従って、肌の細菌フローラが崩れると、善玉菌が少なくなり、産生される脂肪酸も少なくなってしまうので、必然的に肌がアルカリに傾くことになるのです。

わかりやすくまとめると次のようなサイクルになります。

【トラブル肌】

悪玉菌が増える→肌がアルカリに傾く→角質層が破壊され乾燥肌になる→バリア機能が衰えて悪玉菌が増える

【健康な肌】

善玉菌が増える→肌が弱酸性に保たれる→角質層が整い潤いが保たれる→バリア機能が高まり悪玉菌が付着できない→善玉菌が増える

いかがでしたか?

弱酸性のお話し。こんなところでも皮膚常在菌が大活躍していたんですね。

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