◆美肌を保つために知っておくべき、ホルモンのあれこれ★
みなさま、もちろん「ホルモンバランス」という言葉はもちろんご存知ですよね。
ホルモンバランスが崩れると体調が悪化したり肌が荒れたり、体にダイレクトに影響を与える存在です。
以前、コラム「化粧品選びのコツって何?」の中で、生理前は黄体ホルモンの影響でニキビができやすいと書きましたが、今回は女性の美しさに多大な影響を及ぼす「ホルモン」と「ホルモンバランス」について詳しく見ていきたいと思います。
◆ホルモンの種類は70種以上!
そもそもホルモンって何?
完全文系の筆者には、そこからしてよくわからん、というのがかつての正直な感想。
知ってた?? ホルモンてアミノ酸とコレステロールなんです!!
え、ホルモンて物質なの? もうそこからしてびっくりです。
(理系の皆さますみません。あ、常識のある文系の皆さまにもすみません・・・)
筆者は美容の仕事を始める以前は、ホルモン(肉ではない方)は何となくほんわかと存在して目に見えないイメージを持っていました。
しかし、ご存知でしたか、ホルモンは本来は液体で精製すると白い粉になるのです。
ホルモンの種類は大きく分けると次のように分類されます。
★アミノ酸系
・アミノ酸が結合しているペプチドホルモン
インスリン、オキシトシン、成長ホルモン等
・アミノ酸誘導体
アドレナリンや甲状腺から分泌されるホルモン等
★コレステロール系(ステロイドホルモン)
・男性ホルモンや女性ホルモンといわれる性腺ホルモンやビタミンD等
書き出すともちろんもっとたくさんのホルモンがあるのですが、医療系のコラムでもないので割愛します。
アミノ酸系は水溶性、コレステロール系は脂溶性で、ともに血中に放出されて全身をめぐって体の調子をコントロールしています。
コレステロールが原料のホルモンは別名ステロイドホルモンと言われています。
ステロイドと聞くとアトピーや喘息の治療薬等に使われていて結構効果が激しい薬…というイメージもあるかもしれませんが、そもそもホルモンの一種なんですね。
インスリンは血糖値を下げてくれる重要なものですし、アドレナリンが多く分泌されると興奮状態になったりと、体のあらゆる面に影響を及ぼしてくるのがホルモンです。
そして色々なホルモンが医療用に活用されていることが分かりますね。
◆男性ホルモンと女性ホルモン
男性ホルモンは正式にはアンドロゲンという名称です。
副腎と精巣から分泌されるホルモンで、男性らしい体つきに導き、筋肉を作りやすくしたり体毛を濃くしたり、活力を向上させたりする働きがあります。
アンドロゲンはテストステロンをはじめとした数種類のホルモンに変化します。テストステロンは男性ホルモンの95%程度を占めるため、男性ホルモン=テストステロンと言われる場合も多くあります。
それに対して女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンという名称です。
主に卵巣から分泌され、女性らしい体つきに導き、生理や妊娠をコントールし、自律神経を安定させる等の働きがあります。
エストロゲンは卵巣ホルモンと呼ばれ、主に排卵前に活発になるホルモンです。プロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれ、排卵後の期間に活発になるホルモンです。
<キーワードはスプーン1杯>
男性ホルモンは1日にティースプーン1杯分程度分泌されますが、女性ホルモンはなんと生涯でスプーン1杯程度しか分泌されません。
1日の分泌量に換算すると数ピコグラム(1兆分の1g)程度です。
女性ホルモンはそれだけ微量でも体に影響を及す、絶大なパワーを持った成分なんですね。ですので、女性ホルモンのバランスは本当に少しの量の差で乱れてしまいます。
そして、もちろん男性にも女性ホルモンはありますし、女性にも男性ホルモンがあります。
◆実は女性は男性ホルモンの方が体内に多い!
女性が持つ男性ホルモンは、実は副腎だけではなく、卵巣からも分泌されています。しかもその量は女性ホルモンの10倍以上!
男性に比べると5~10%程度の量ですが、確実に存在して、そして影響を及ぼしています。
女性ホルモンは少量でも絶大な威力なので、必然的に男性ホルモンの方が量的には多くなってくるんですね。
◆男性のもつ女性ホルモンは男性ホルモンから変化したもの!
女性ホルモンは卵巣と胎盤からしか分泌されないのに、なぜ男性にも女性ホルモンがあるのでしょうか?
その理由はなんと、男性ホルモンが女性ホルモンに変化するからなんです。
もともとコレステロールから作られるホルモンは酵素などの影響によりさまざまに変化します。男性の持つ女性ホルモンは男性ホルモン(アンドロゲン)が酵素の影響を受けてエストロゲンに変化したものなんです。
◆美肌の最高の支援者エストロゲン!
エストロゲンは別名「美のホルモン」とも呼ばれる、女性の美しさに非常に大きな影響を与えるホルモンです。
エストロゲンは生理の終盤頃から増え始め、排卵前にピークを迎えます。
この時期は肌もつやつやとして調子が良いという方も多いと思います。
エストロゲンはコラーゲンやセラミドを作る力があるので、この時期は肌の内側からしっかりと潤ってプルプル美肌になりやすいのです。
また、エストロゲンは精神面でも穏やかで落ち着いた状態に導いてくれます。
さらに、エストロゲンはアルコール分解酵素を抑制する働きがあるので、排卵前の時期などはいつもよりお酒に弱くなるというオモシロ現象も起こります。
今日はいつもより早く酔うな、というときは実はエストロゲンが増えている時期かもしれません★
つまりエストロゲンが豊富な時期は、きれいで輝いている上にご機嫌でお酒に弱い…。
そしてピーク時は最も妊娠しやすい時期とも言えます。
なんとも種の保存に適した状況ですね~。
この時期は、うっかり飲みすぎないように注意しましょうね!
◆プロゲステロンは非常に重要なホルモン
さて、最後はプロゲステロンについてです。
排卵後に卵を育てるために出るホルモンですが、この時期は情緒が不安定になったり、肌の調子が悪くなったりと何かと敬遠されがちなホルモンですね。
プロゲステロンが多い時期は肌の水分量が低下し、皮脂分泌量が増えるので肌が乾燥したりニキビができやすくなってしまいます。
しかし、プロゲステロンはとても重要なホルモンなので決しておろそかにしてはいけません。
妊娠後は赤ちゃんを育てるために胎盤から分泌されることからもわかるように、生命の根幹を担う、人にとってなくてはならないホルモンなのです。
なんとエストロゲンや男性ホルモンであるアンドロゲンも、もともとはこのプロゲステロンから作られているのです。
プロゲステロンは、その他様々なホルモンに変化することで、生命の重要な活動にかかわっています。
また、プロゲステロンは性ホルモンとしての役割だけではなく、骨を作ったり、鉄分・カルシウム・亜鉛・カリウム等の身体に必要な成分のバランスを調整したり、血圧を調整するなど、あらゆる分野で活躍してくれます。
更には、近年このプロゲステロンが乳がんを抑制する重要な役割を持つこともわかってきています。
◆大切なのは、兎にも角にも絶対バランス!
長くなってしまいましたが、ここまで書いてきたことから、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンはどちらも大切でおろそかにできないということが分かるかと思います。
ホルモンバランスが大切、と様々なシーンで言われていますが、美肌ホルモンのエストロゲンだけを増やすことが単純に良いわけでは無いとも言えます。
エストロゲンが増えることでプロゲステロンのバランスが崩れてしまうと、結果として体調に悪影響が出ます。
重要なのは身体の中でホルモンのバランスが保たれて身体全体の調子が良好に保たれていることです。
エストロゲン、プロゲステロン、両方がその人の身体にとって一番よい分量で分泌されることが、美しく健康な身体作りの第一歩です。
更年期になると閉経によりエストロゲンの分泌量が一気に減ります。この時期、身体に様々な不調が出るのは、ホルモンバランスが急激に変わるためです。
更年期にはエストロゲンを投与するホルモン療法がありますが、やはりエストロゲンだけが増えてしまうと体調不良や子宮がんのリスクが高まる等の副作用があります。
ですので、エストロゲンの投与と合わせてプロゲステロンも投与することでバランスをとって調整していきます。
更年期のホルモンバランスの乱れを完全に無くすことは難しいですが、生活習慣を整えることで、影響を小さくすることは可能だといわれています。
そのためにも、日ごろから暴飲暴食や夜更かしをしない、ストレスをためすぎない、身体を冷やさない等、日常生活で自分を労わりながら穏やかに過ごすことが重要なのです。
いかがでしたか、ホルモンのお話。
身近にあるけど、意外に知らないことも多かったのではないでしょうか★
ご自身の体調不良や身体の変化を感じたときに、もしかしてホルモンの影響かな? と思ってみると、病院に行って薬をもらうだけではなく、家でゆっくりリラックスして自分を労わってみる等の選択肢も出てくるかと思います。
大切なのは自分の体調の変化をしっかりと理解しながら、小さな健康を積み重ねていくことに尽きるのです。